銀行にお金を預けても、低金利時代の今は全くと言って良いほどお金が増えません。
そこで、生命保険に入ってお金を増やそうと考える人が出てきました。
しかし、生命保険の目的は保障であり、貯蓄ではありません。
今回は、生命保険に入ってお金を増やすという考え方とお金を貯めるための保険についてお話しします。
生命保険はお金を増やす手段になる?
保険には掛け捨て商品のように「保障を目的にした商品」と「貯蓄性の高い商品」の2種類があります。
掛け捨ての「保障を目的にした商品」の場合は、保険料を支払った時点で「お金」という資産はなくなり、万が一の時の保障だけが残るのです。
一方、「貯蓄性の高い商品」は、保険料が費用というイメージではなく、万が一に備えての「積立貯金」というイメージの方が近いかもしれません。
コツコツと保険料という名目で積立貯金をしておき、いざというときにはちょっと利子がついて返ってくると思っているといいでしょう。
そう考えると、掛け捨ての保険よりも貯蓄性の高い保険の方が戻ってくるお金がある分、お得な気がします。
しかし、「保険でお金を貯める」という時代は終わっています。
実際に、多くの保険会社は貯蓄性の高い保険商品の販売をストップし始めているのです。
金利が上がる兆候もないまま、積立を続けていても増やすことができないからです。
「銀行にお金を預けても増えないのだから、保険会社に預けたって同じこと」と思う人もいるでしょう。
しかし、銀行は金利が上がってくれば、比例して利子が増えていきます。
一方、保険会社の貯蓄性の高い商品は、銀行のように金利が動かないことが多いのです。
なぜならば「固定金利」だからです。
「固定金利」とは、加入したときの金利が満期まで続くということです。
満期を迎えるまでの間に、金利が上がってきたとしても、固定金利で預けていた場合は恩恵を受けることができません。
そのときになって「解約して銀行に乗り換えよう」と思っても、途中解約になってしまい、払い込んだ保険料よりもずっと少ない金額が返ってくることになるのです。
「お金を増やしたい」と思うのならば、保険で増やす方法はやめたほうがいいでしょう。
保険は、あくまでも「備える」ためのものです。
「備えるためにお金を払っていく(=費用計上する)」という考えで割り切るほうが、本当に必要な保障をみつけやすくなります。
生命保険の会社の学資保険で学資を貯めるメリットは?
生命保険の会社からは、生命保険や医療保険だけでなく、さまざまな商品が販売されています。
中でも学資保険は、子育て世代から高い人気を得た商品です。
一昔前までは、学資保険と言えば毎月決まった額を積み立てて、子どもが18歳になる時に、支払った額よりもちょっと多めの300万円程度のお金がドンともらえる仕組みでした。
学資を計画に貯められる方法として人気があったのです。
しかし、生命保険の会社が扱う学資保険は「計画的に学資が貯められる」というメリットだけでなく、一家の大黒柱に万が一のことがあったときに備えての「生命保険」もプラスされていることがあります。
単なる学資保険だけでなく、ひとつの保険で生命保険にまで加入できる商品は、かなりお得なような気がするかもしれません。
しかし、学資保険と生命保険がセットになっている商品は、学資の積立額と生命保険の保険料が合わさるため、それなりに保険料が高いのです。
生命保険の会社の学資保険で学資を貯めるメリットは、少なくなりつつあります。
メリットが減ってきたため、最近は保険会社による学資保険の売り止めが増えています。
今、なんとか残っている条件のいい保険が、今後ずっと残るとは限りません。
「これはいい」と思う学資保険があるならば、早く加入しておいた方がいいのかもしれません。
もしも、生命保険の会社を通じて学資を貯めたいと思うのならば「学資保険」と銘打ってはいませんが、低解約返戻金型の終身保険に入る方法があります。
ただ、終身保険を学資保険の代わりにするためには、加入する時期によってメリットの大小が変わります。
保険ショップで学資保険の相談をすると、学資保険よりも終身保険への加入をすすめられるでしょう。
これは、紹介手数料の高さも影響しているのですが、生命保険のメインの目的である「万が一に備える」ということが、終身保険の方が優れているからでもあります。
結局、生命保険会社でお金を増やすことは不可能?
生命保険は、いざというときに備えるためのものです。
しかし、時代の流れを読む力に長け、余剰資金を運用するならば、生命保険会社でお金を増やすことも可能かもしれません。
最近は、外貨建て終身保険に加入する人も増えています。
外貨建て終身保険は、円建ての終身保険とほぼ同じなのですが、金利が違います。
外貨建ての金利は、とても高いのです。
単純に考えれば、金利が低い日本の円で運用するよりも、金利が高い通貨で運用したほうがお金は増えます。
しかし注意点があります。
外貨建ての終身保険は、為替の影響を受けます。
加入時よりも円安になればお金は増えて返ってきますが、円高になれば金利が高くても減って返ってくることもあるのです。
また、手数料も必要です。
外貨建ての終身保険は、貯蓄というよりも投資に近いイメージです。
保険とお金を増やすことは関係がないようにみえますが、実は「金利」の影響はどちらも大きく受けるのです。
「保険は入っていれば安心」と思って保険料を払い続けていると、実は「投資にお金を回したほうがよかったかも」と思うこともあります。
保険に入る目的をもう一度考え、どういう方法を選ぶと一番お金が増えるのかを考えてみるといいでしょう。